コグニティの会話解析AIサービス「UpSighter」で、
ビジネスシーンにとどまらない、
あらゆるコミュニケーションを見える化するプロジェクト
『目からコグ!』
今回は、スーパーや量販店など、店頭の実演販売で商品を購入させるプロである「実演販売士」タイガー尾藤さんのトークテクニックを数値で見える化します。購入意欲をかきたてるトークのポイントはどこにあるのか、コグニティの新人営業マンのトークと比較して見ていきます。解析には営業トークの解析に特化した「リモトレAI」を使用しました。それではスタート!
※協力:株式会社スリー・B・グッド https://3bg.co.jp/
※出典:「お掃除セット2016」(タイガー尾藤You Tube公式チャンネル)
誰もがわかる客観根拠を話し、疑問をクリアしながらトークを展開
まず、それぞれのトークがどんな内容で構成されているかを、5つに分類したのが下のチャートです。
左は実演販売士、右は新人営業マンを示しています。まず、パッと見てすぐにわかる違いは青色で示されている「客観根拠」。客観根拠とは、価格や日付など誰もが聞いても正しいとわかる数字や科学的に裏付けられた内容のことです。これを実演販売士は17%話しているのに対して新人営業マンは0%、全く話していません。
新人営業マンの話の内容は、起点となる話題が6割、ほかは具体的な説明が4割という構成です。これは、相手に対して話題をたくさん提供し、かつ具体的で深堀りした内容を説明しているのですが、「なぜこの提案をするのか」という理由がないため、残念ながら相手に「一方的にしゃべっているだけ」という印象を与えていそうです。
しかし、実演販売士は、起点の話題も具体的な説明もしていますが、誰もが納得する理由付けの要素を加えることで、相手の疑問をクリアしながら話が展開できているようです。
トークの情報構成バランスを比較 |
ひとつの話題に対して丁寧に説明する
続いて、それぞれの話題に対してどれくらい説明をしているのかチェックしていきます。下の図2をご覧ください。実演販売士はひとつの話題に対して、こと細かに説明していることが膨大な文字数で現れていることからもわかります。対して、新人営業マンは説明の量そのものが少ないようです。
また、新人営業マンからは検出されなかった「客観根拠」が、店頭販売士のトークには検出されています。「天然の石鹸成分なので手に優しい」という部分です。
それぞれの話題に対してどれだけ説明している? |
CLOSED質問とOPEN質問のバランスでリズムを作る
営業トークのテクニックのひとつに、相手の理解度を確認するために質問を投げかけるというものがあります。今回の両者の場合、どのような質問をしていたのでしょうか。
はい・いいえのどちらかで答えられる質問をCLOSED質問、それ以外になぜといった理由や意見、自由な回答を求める質問をOPEN質問として分類したのが下の図3です。実演販売士は、新人営業マンに比較すると質問の数自体が圧倒的に多いことがおわかりでしょうか。実演販売士は49回、新人営業マンは7回です。話の流れを見ると、「さあ、今日ご紹介しておりますのは、まずはね、フラワータワシ、かわいらしいでしょう?」「これもう使わないでしょ。このスポンジ捨てちゃうでしょ?」というように、CLOSED質問を用いて相手に畳み掛け続け、ポイントで「どう?」「これで拭くとどうなるの?」といった相手の意見を求めるOPEN質問を投入することで小気味のよいトークを展開しています。
相手にどんな質問をしているか? |
まとめ:実演販売士のトークのポイント
以上から、実演販売士のトークのポイントをまとめてみます。
・誰もがわかる客観根拠を話し、疑問をクリアしながらトークを展開
・ひとつの話題に対して丁寧に説明する
・CLOSED質問とOPEN質問のバランスでリズムを作る
ちなみに、具体的な説明のなかで、相手のニーズを引き出すために一般的に“良い話法”と判定された流れを詳しく見ていくと、以下のようになっています。
【販売士の話法】 ①この汚れどうなっちゃうの? 皆さん気になってるのね。 それはもうご注目いただければ。どうかしら? ね?(OPEN質問) ②天然バブルでつかんだ汚れを離していきます。(客観根拠) ③わかるかしら?わかるかしら?わかるかしら?(CLOSED質問) ④ずあーっとこの通り、ね?(OPEN質問) |
このように、OPEN質問とCLOSE質問を組み合わせていることがわかります。
以上から、実演販売士のように思わず「欲しい!」と思わせるトークのポイントは、具体的かつ客観的で丁寧な説明をベースに、テンポ良く話を展開することと言えそうです。
もちろん、今回分析した実演販売士が提案していた商材は、スポンジや洗剤ですし、新人営業マンはAI分析サービスと、業界や業種によって良しとされる話し方は異なりますが、今回分析した実演販売士の話法も参考になるのではないでしょうか。
トークに含まれる要素やロジック展開を解析すれば、それぞれのトークの特徴を数値やデータで見える化でき、比較することができます。その“違い”を把握し、自分あるいは自社ならではの“勝てるトーク”をブラッシュアップすることはとても重要です。ぜひ、ご自分の営業トークを見える化してみませんか?
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